道場開設十周年
伊勢神宮のおひざ元、リアス式海岸に囲まれた真珠養殖が盛んな伊勢志摩国立公園に志友館相撲道場はあります。
道場主は小林利博、60歳還暦です。
志友館相撲道場が開設されたのは10年前の平成11年1月1日、小林館長が50歳の時でした。以来、多くの小中学生がこの道場でけいこに励み、その後の大学や高校で目覚ましい活躍をしています。特に今年度の道場生は、個人で中学生の玉木選手が都道府県で全国優勝し、団体でも磯部中学校として出場した全中選手権で準優勝となるなど大いに活躍した年となりました。
さる11月30日に10周年と還暦そして日本一を記念して、後援会員や学校関係者が多数集まるなかで祝賀会が盛大に催されました。
「道場を開いた時に『10年で日本一になる』と皆様と約束をし、ようやく10年目に夢が叶いました。次は団体での日本一を目指します」
祝賀会では小林館長は『赤いちゃんちゃんこ』ではなく赤いまわし姿で子供たちとの記念けいこを披露し、来賓の方々の前で新たな約束を交わしました。

小林館長がいつも心に留めていたことは、目標は一番高いところということです。そのためには一流の選手と一流のけいこをし一流の選手と寝食をともにすることが大切として、多くの高校や大学との合同けいこや合宿に積極的に参加をしてきました。そのおかげで今日では志友館相撲道場の名が広く世間に知られるまでになりました。

---

指導者として守り通したことは何かと尋ねると、「そんなものはない。放っておいても子供は勝手に強くなっていくんだ」と笑って話します。しかしすぐに真顔になって答えました「中学校を終えて卒業していけば次の指導者に渡さなければならない、だから故障を抱えて育たないような選手には絶対にしない。そのためには何より体作りが大事なんだよ。けいこをする姿勢や日常の行動で『志友館の生徒なら誰でもいい』と言ってもらえる選手に育成しなきゃいけない」「子供はなぜ辛いけいこを頑張ると思う？体力づくりや将来のためや精神育成のためなんかじゃないよ、そんな賢い奴なんかいるわけがない。ただ勝って褒められたい、拍手をもらいたい、おうちの人に『すごいね、よく頑張ったね』と言ってもらいたい、その程度なんだよ。だから親はひたすら褒めていればいい、指導は俺がするんだから」

---

「道場は私の道楽」宴席で選手の保護者を前にして小林館長が涙を流しながら語りました。「今日までたくさんのサポートをしてくださってありがとう。道場は私の道楽だから何もお返しすることができずに申し訳ない。唯一できることは子供たちを強くしてあげることです。これからも応援をお願いします」
志友館とは「同じ志を持つ友が集まる館」という意味を込めて名付けられました。これからは「全国から志摩に友が集まる館」を目指し新しい1年目をスタートします。